星猫くるる HOSHINEKO KURURU

S003 五分が始まらない

砂時計を持つナギへ、ポンタが砂時計を戻していると気づく。

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備

935字・約2分

ナギが小さな砂時計を机の端に置いた。今日の仕事は終わっている。残っているのは、工具をしまい、床を掃き、お茶を入れるだけだった。
「五分だけ片付けて、そのあとは休憩」
ポンタはうれしそうにうなずいた。休憩を忘れがちなナギが、自分から時間を区切ってくれたのだ。
砂時計をひっくり返す。細い砂が落ち始める。ポンタは工具を棚へ運び、ナギは作業机を拭いた。砂の残りは半分ほど。これなら余裕がある。

ポンタが戻ると、ナギは砂時計を持ち上げていた。
「棚が空いたから、紙も戻しておこう」
話しながら彼女は砂時計を逆さに置いた。落ちた砂が上へ戻る。五分の半分が、なかったことになった。
ポンタは首をかしげたが、紙をしまいに行った。戻ってくると、今度は砂時計のすぐ横にあった小さな汚れをナギが拭いている。彼女は砂時計をよけて、机を拭いて、置き直した。向きはまた逆になった。
「いい調子だね」
「そうね。もう少し」
砂時計だけが、ずっといい調子で始まっていた。

ポンタは茶を入れた。二人分のカップを置こうとして、砂時計が邪魔になった。ナギがさっと持ち上げた。
「ここへ置いて」
カップのために空けた机に、砂時計が着地する。上には砂がたっぷりある。
ポンタは片方のカップをつかみかけて、止まった。
「五分、まだ?」
ナギは砂時計を見た。砂は堂々と、これから五分ありますという顔で落ちている。
「まだね」
ポンタは自分のカップを少し手前へ引いた。ナギも飲もうと手を伸ばすが、途中で机に残った水滴を見つけた。布を取り、砂時計を持ち上げる。

今度こそ、ポンタはその手を見ていた。
「それ、戻してる」
ナギの手が空中で止まった。砂時計の上下を見比べる。工具をしまったとき。紙をしまったとき。机を拭いたとき。全工程が、同じ五分の開始地点へ帰っていた。
「進んでいるのは片付けだけか」
彼女は砂時計をそっと横に寝かせた。細い流れが止まる。ポンタはほっとして椅子を引いた。
ナギも座る。二人は少し冷めた茶を飲んだ。机はきれいで、工具も紙も片付いている。砂時計だけが、使い始める前より休んでいるようだった。
ポンタがそれを指した。
「五分、始まる前に休もう」
ナギは持ち上げかけたカップを、もう一度だけ見た。ひっくり返す必要のない形なのが、とてもありがたかった。

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