星猫くるる HOSHINEKO KURURU

S005 二人で運ぶ軽さ

ナギとポンタが小さな木箱を二人で持ち、机と棚の間で立ち止まる。

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備

965字・約2分

工房の端には、完成した小さな木箱が一つあった。空なので、一人で持ち上げられる。問題は持つ回数だった。ポンタは朝から、その箱を机へ、床へ、棚へと三回運んでいた。
「最後に入口へ置けば終わりだよね」
ナギはうなずき、それから思いついた顔になった。
「待って。一人に負担を寄せない運び方にしよう」
彼女は箱の両側を指した。二人で半分ずつ持てば、一人の負担は半分になる。ポンタは巻尺を置き、手を空けた。
「それなら軽いね」
二人は左右に立ち、箱を持ち上げた。確かに軽かった。軽すぎて、ポンタは普段より高く持ち上げた。ナギの側が少し下がる。

「高さを合わせよう」
「もうやっといた!」
ポンタが下げると、今度はナギが上げていた。箱の底が反対に傾く。中身はないので何もこぼれない。ただ二人は、慎重に箱を元の高さへ戻した。
歩き始める前に、ナギが足を見た。
「同じ足から出す?」
「向かい合ってるから、右って言うと逆じゃない?」
「入口に近い足から」
ポンタは入口を見た。ナギも入口を見た。二人は同時に、入口に近い足を一歩出した。箱がわずかに斜めになる。立つ位置が違うので、行きたい方向も少し違っていた。

「回るときも決めよう」
ナギは空中に指で経路を描いた。ポンタは真剣にうなずいた。直進して、一度曲がって、入口へ。箱を傾けず、互いの足を踏まず、最も短い距離で運ぶ。たった数歩に、立派な段取りができた。
二人は持ち上げたまま、いよいよ入口へ向き直ろうとした。
ところが、箱を挟んだ二人の幅が、机と棚の間より広かった。
どちらからも入れない。箱だけなら余裕で通る。人が一人なら、それも余裕で通る。負担を減らした結果、人数だけが道をふさいでいた。

ナギは箱の向こうからポンタを見た。彼は目を丸くして、空の箱を見た。
「持つ前の方が軽かったね」
ナギの眉が一度だけ下がった。
「一人で運ぼう」
「どっちが?」
二人はまた止まった。ここで負担の公平さを話し始めれば、日が暮れる。
ナギが手を離した。ポンタはそのまま箱を脇へ抱え直し、机と棚の間をすっと通った。入口に置いて戻るまで、話し合うより短かった。
戻ったポンタへ、ナギは茶のカップを渡した。今度は二人で一つを持たず、一人に一つずつ。
「半分ずつでいいのは、お茶の時間ね」
ポンタはカップを持って、同じ方向を向いて座った。向きを決める相談は、しなかった。

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