S014 勝者の皿はどっち

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備 / テーマ創作
977字・約2分
閉店後、カフェの小さな皿に焼き菓子が二つ残った。大きいのと、小さいの。一つずつ食べれば済む話だったが、イトは見た瞬間に、水色のサイコロを出した。
「勝った方が、大きい方」
ハルは二つの皿を見て、うなずいた。彼はさっき、昼を少ししか食べられなかったと言っていた。イトはその話を聞いていたが、覚えていることは言わなかった。
サイコロを一回ずつ転がす。イトが勝った。
「はい、私」
彼女は大きい方の皿を自分の前へ引いた。得意そうな顔だった。ハルは小さい方を取り、向かいに座った。
イトは皿を見た。焼き色の濃い角と、ふんわりした真ん中。大きい方は、ちゃんと大きい。ハルの方を見ると、小さい皿を両手で囲んで、うれしそうにしていた。
これでは、さっき昼を食べ損ねた分にならない気がした。
イトは机の上のサイコロを片付けた。皿のそばに置いていたから、少し動かす必要があった。そういう顔で、大きい皿を横へ滑らせる。
ハルの目が皿を追った。
イトは平静なまま、皿をもう少し動かした。相手の前まで来ると、自分の手を離した。最初からそこへ置く予定だったように、小さい皿を自分へ引く。
「小さい方が、今の気分」
イトは言った。
ハルは皿を見比べた。勝負の前は大きい方を指し、勝ったときもうれしそうだった。彼女は今、急に小さい方を見つめている。耳が少し赤い。
彼は大きい皿をそのまま受け取りかけ、やめた。机の中央へゆっくり戻す。
「勝者の席、そっち?」
イトの手が止まった。自分がまだ机のこちらに座っていることを、確認する必要はなかった。
「皿は、動かせるから」
言ってから、説明になっていないと思った。
ハルは小さい皿も中央へ寄せた。二つの焼き菓子が、二人の間へ並ぶ。
「半分ずつ食べよう」
イトはうなずき、皿を少し引いた。今度は自分の方だけでなく、二人が取れる真ん中の位置へ。
ハルが用意した二本のフォークを、一人に一本ずつ置く。イトは焼き菓子を分け、彼はお茶を入れた。二つの大きさが違っても、最後には両方食べられた。
机の端には、しまい忘れたサイコロが一つ残っていた。イトが手を伸ばすと、ハルはそれを見る。
「次も勝負?」
彼女は首を振って、ポケットへしまった。
「今日は、食べる」
ハルはうなずいた。小さい方が今の気分だったはずのイトは、大きい方の半分も、まったく迷わず口へ運んだ。彼はそれを見て笑いかけ、紅茶でそっと隠した。
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