S021 受付の行進

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備
965字・約2分
受付の机に、申請用紙が三枚置かれていた。どれも大きな一枚紙で、余計な飾りがない。リヒトが修理を終え、スミが受付印を押せば今日の仕事は一区切りになる。
「順番にお願い」
スミは机の手前を指した。リヒトは掌を開いた。単純な魔法の輪が一つでき、三枚の紙がふわりと上がった。先頭、その後ろ、さらに後ろ。間隔まできれいな一列だった。
「この向きで?」
「いいね。ちゃんと並んでる」
褒められたリヒトは、少しだけ肩を戻した。頼む言葉より、並べる角度ならすぐ決められる。三枚は、スミの持つ受付印の前に向かって浮いていた。
スミは一枚目を受け取ろうとしたが、机の奥のインク台が乾いているのに気づいた。予備は隣の作業台にある。受付印を持ったまま、椅子の後ろを回って歩いた。
リヒトは三枚をその向きへ動かした。順番は崩さない。スミが左へ進めば、先頭の紙も左へ進む。次の二枚が同じ曲線を追う。いつもなら紙を抱えて移動する受付が、今日は紙に従えられて移動していた。
スミは二歩進み、目の端に白いものを見た。歩みを止める。三枚も止まる。彼女は振り向いた。先頭の紙が、ほどよく離れた場所で待っている。その後ろに二枚。
「ついてきたね」
「順番は、そのままです」
リヒトは少し誇らしく答えた。スミは受付印を胸の高さへ上げてみた。紙の列も少し上がる。下げると下がる。リヒトは印の高さに合わせ、一枚ずつ見やすい位置を保っている。仕事は正確だった。ただ、その正確さが、受付を行進の先頭にした。
スミは受付印を持つ手を横へ出した。三枚が半円を描いた。彼女は反対へ戻した。三枚も戻った。スミの眉が楽しそうに上がる。リヒトは紙の列を崩さないことに集中し、彼女が遊び始めたことにまだ気づいていない。
スミはもう一度、ゆっくり歩いた。受付印を正面に持ち、背筋を伸ばす。三枚の白い紙が、堂々とついてくる。窓口には客がいない。行列だけは、とてもよくできている。
「本日の行列、私が先頭」
リヒトはそこで初めて笑った。
予備のインク台の前に着くと、スミは紙を一枚ずつ机へ下ろしてもらった。列の順番で受付印を押し、できた紙を横へそろえる。魔法の輪が消えたあとも、彼女は歩くとき一度だけ後ろを見た。
「もう来ませんよ」
リヒトが言う。スミはうなずいて受付へ戻った。印を振らないように持っていることに、自分で気づいて笑った。
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