星猫くるる HOSHINEKO KURURU

S022 言い方の交換

窓口で役割を交換し、銀髪のリヒトが印を持ちスミが掌を開く。

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備

962字・約2分

午前の窓口が終わると、スミは受付印を机へ置いた。リヒトは修理済みの箱を持ち、返却用の棚の前に立っている。魔法で棚へ入れることはできる。だが相手へ何と言って渡すか、今日は練習してみたかった。
「預かった物を、返したいです」
「うん。もう短い」
スミが即答する。リヒトはまだ不安そうだった。短いのと、冷たくないのとは別かもしれない。スミは彼の前へ立ち、片手を広げた。
「一度、私の言い方でやってみる?」

彼女は背筋を伸ばし、眉を水平にした。箱を示して、要件を一つ。次に相手を見て、ひと呼吸。最後は小さくうなずく。リヒトは同じ順番を試した。最初のうなずきが大きすぎたので、スミが肩の力を抜くように言った。二度目は、ひどくきりっとして見えた。
「いい。窓口に置ける顔」
「顔を置くんですか」
「人ごとね」
リヒトは笑い、箱を棚へ置いた。

今度はスミが、彼の言い方を習うことになった。急いで判断する自分にも、相手の返事を待つ一拍があってよい。リヒトは掌を上にして、体の前へ差し出した。魔法の輪は出さない。今日は物ではなく、言葉の置き場所を作る。
「すぐに決めなくていい、という感じで」
スミは手を開いた。指先まで決めた形にしてしまうので、リヒトがもう少し柔らかくと頼んだ。彼女は肩を落とし、眉の内側を少し上げた。
「こんな顔してる?」
リヒトは答えかけて、穏やかにうなずいた。スミはその遠慮深いうなずきまで写した。

練習相手を交代するため、二人は机の左右へ回った。リヒトの前には受付印がある。スミは空の掌を上げている。元の役割を知らない人が見たら、今日は銀髪の受付と、お願いの準備をしている茶髪の客だった。
リヒトは教わった通り、胸を張って短く言った。
「どうぞ」
スミは教わった通り、相手の返事を待つ間を取った。
「お願いします」
二人はそこで、互いの顔をよく見た。きりっとした眉と困り眉が、きれいに反対側へ移っていた。

スミが先に笑った。肩を戻そうとしても、丁寧な手の形だけが残る。
「顔まで貸したね」
リヒトも笑った。大きな魔法の技術を教えたわけではないし、受付の仕事が一瞬で身についたわけでもない。でも、相手の立場を一度やってみた感覚は残っていた。
次の箱を返すとき、リヒトの言葉は短かった。スミも、返事が出るまでちゃんと待った。二人とも、借りた顔を少しだけ持ち帰っていた。

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