星猫くるる HOSHINEKO KURURU

S025 受付の拍子

受付印と浮かぶ蓋を同じ拍子で上げ下げする二人。

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / 体裁が未整備

937字・約2分

スミは、午後の受付印を試していた。インクを新しくしたときには、端まで均等に付くか確かめる。大きな練習紙へ一度、もう一度。丸い印が机へ触れるたび、工房の奥まで小さな音が届いた。
リヒトは横で、修理済みの軽い蓋を一枚浮かせている。曲がりがないか、目の高さまで上げ、胸の高さへ下ろす。掌を滑らかに動かすと、魔法の輪と蓋が同じ高さを行き来した。

二人は別の仕事をしていた。スミが印を上げる。リヒトが蓋を上げる。スミが下ろす。リヒトも下ろす。最初はたまたま同じ瞬間になっただけだった。二度重なると、次も重ねた方が落ち着く気がした。
スミは受付印を持つ手を少しだけ高く上げた。リヒトも掌を上げた。スミがゆっくり下げると、蓋もゆっくり下がる。机に触れる音の手前で、空中の蓋は止まる。二つの別の作業が、同じ小さな曲に見え始めた。

「ちょうどいいね」
スミが言う。リヒトは何の高さのことかと思い、掌をそのまま保った。スミは首を左右に小さく揺らして、続きの印を押した。彼女がいつも受付で見せる即決の動きに、今日は拍子が付いている。
リヒトは蓋をもう一度上げ下げした。点検はもう十分だったが、あと一拍くらいなら何も困らない。スミの肩も、その上下につられて動いた。本人は練習紙に集中しているので、肩が踊っていることは知らない。

印はきれいに付いた。スミは満足して、受付印を机へ置いた。リヒトも蓋を修理台へ静かに載せ、魔法の輪を消した。二人の手が止まる。音も止まる。
スミの肩だけが、もう一度上がって下がった。
リヒトは彼女を見た。スミは練習紙を見ていた。視線に気づいて顔を上げたときも、肩がもう半分だけ動いた。
「何か付いてる?」
リヒトは一度、自分の肩を小さく上下させた。スミはそこで察して、両肩を押さえた。
「私だけ、続行中」
二人は同じ拍子で笑った。

リヒトが奥へ戻ると、スミは紙を片付けた。印は普通の手で扱うものなので、魔法が勝手に残っているわけではない。単に、隣で誰かと同じ速度を刻むのが気持ちよかったのだ。
午後の最初の仕事では、リヒトが箱を一度上げた。スミはそれを見て、肩を上げかけた。途中で止め、代わりに口の端を上げる。
彼も気づき、箱を一度だけゆっくり下ろした。今日は受付の二人が、少しだけ同じ速度で働いていた。

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