星猫くるる HOSHINEKO KURURU

S060 残席の向こう

出港する船から紗季が岸の澄人に手を振る。

AI が作成 / 人間が未査読 / コンセプト・ターゲット無し / キャラクターデザイン無し / 体裁が未整備

7,578字・約16分

S060-1 S1 一緒に帰るはず

十七時五十五分の待合所で、紗季は掲示を読み直した。強風のため小型船に変更、予約者優先、残席の販売は十八時二十分。読む順番を変えても、最後の行が早くなることはなかった。大きな船を小さな船に替えたなら、乗れる人数が減る。それは理解できた。ただ、自分がその減った側にいることは、理解とは別のことだった。

仕事鞄を足元に置いた。修理の工具は対岸の店に置いてある。鞄が軽いのは準備が足りなかったからではない。明日の朝、自分の手で始める仕事のために、工具を使いやすい位置へ並べてきたのだ。その机を思い浮かべると、空いた椅子まで今夜のうちに戻しておきたくなった。

「予約しておけばよかった。」

言葉は澄人に向けたつもりだったが、口にしたあとで、相手に何をしてほしいのかがわからなくなった。過去の自分に言うなら役に立つ。ここにいる澄人は、もう船の大きさも紗季の予約も変えられない。澄人は鞄の横を避けて立ち、掲示の時刻を見た。

「ここで待とう。受付は十八時二十分だ。」

紗季は残席を待つ列の先頭に立った。澄人がその後ろに立った。予約を持つ人が後ろにいるのは、待つ人を一人にしないためだろうと、紗季は思った。澄人が予約したことは知っていた。自分も同じ便で帰るつもりなのだから、そのとき一緒に手続きをすればよかった。一緒に帰る、という予定を決めただけで、帰るための仕事まで済んだ気になっていた。

二人が一緒に営む修理店は、対岸の町にあった。紗季は三十四歳、澄人は三十九歳だった。店で働く日は、先に着いたほうが入口を開ける。けれど明日の仕事は、紗季が初めて独立して担当するものだった。澄人がそばにいることを前提にせず、朝から自分で着手する。そのための道具も場所もある。欠けているのは、そこへ戻る紗季自身だけになりかけていた。

澄人は翌朝から一週間、親の家へ休暇に行く。今夜は自宅で荷物をまとめて休むはずだった。紗季が朝の便に回れば、仕事の始まりは遅れる。澄人が朝の便に回れば、帰宅してから荷造りをし、休暇へ出る時刻が遅れる。どちらも生きていくうえで取り返せない危機ではない。だからこそ、危機でないことを理由に、相手の時間なら削ってもよいとは言えなかった。

待合所の窓に風が当たり、ガラスの向こうの水面が細かく折れた。予約者の入口と残席受付は、同じ船に続いている。離れた場所から入っても、船内で会える。紗季はその簡単な図を頭の中に置いた。一席だけでも残れば、自分が取って、澄人と帰れる。掲示に書かれていない結末を、勝手に最後の行へ付け加えていた。

最終便は十八時三十分に出る。改札は十八時二十五分に閉じ、次の便は翌朝七時だった。取消で空いた席は残席受付へ回り、先着順に販売される。購入前にその一席が自分のものになる保証はない。端末の前で待つことと、乗船できることの間には、まだ券一枚分の隔たりがあった。紗季は掲示から視線を外し、足元の鞄を自分のほうへ寄せた。

S060-2 S2 後ろの場所

十八時五分になっても、紗季と澄人の位置は変わらなかった。窓から入る薄い光が、床の列の印を見えにくくしていた。紗季は印を足で踏まないように立ち直り、澄人の手を見た。携帯端末を持っている。その画面は紗季のいる側には向いていなかった。手続きの済んだ人の手は、こんなふうに静かになるのかと思った。

「予約の人は、向こうから入れるよ。」

澄人のほうを向かず、入口を見ながら言った。相手を急がせたいわけではなかった。もう自分のせいで時間を使わなくていい、という意味を込めたかった。けれど、向こうへ行ってほしいと聞こえてしまうかもしれない。付け足そうとして振り返ると、澄人は端末を下ろしたところだった。

「今はここに並ぶ。」

今は、という言葉を紗季は受け取った。残席が出るまで一緒に待って、それから予約者の入口へ行くつもりなのだろう。いつも店で、紗季の作業が一区切りつくまで戸口に立っている澄人を思うように、その立ち方を見た。ここでは澄人に手伝ってもらう作業がない。待つという作業は、二人で持っても軽くならなかった。

鞄を持ち上げると、底についていた床の冷たさが手へ移った。澄人が足を引き、鞄の通る場所を空けた。紗季は礼の代わりにうなずいた。先頭の人が横へ出れば、後ろの人が前へ行ける。ただそれだけの広さがあった。二人の位置は決められた印よりも、どちらが一歩動くかで保たれていた。

一緒に帰るはずだった、と紗季はもう一度考えた。そのはずには、誰が何をしておくかが入っていなかった。自分の仕事の準備は具体的だった。道具を並べ、翌朝の始め方を考え、澄人が休暇で不在になることも織り込んだ。帰りの船だけは、準備の外にあった。二人でここへ来れば、そのあとのことも二人分進むと思っていたのだ。

澄人に予約を見せてもらえば、乗り方は確かめられる。だが紗季に必要なのは、相手の券を調べることではなかった。ここにいるのは、自分が忘れた手続きを澄人に点検してもらうためではない。紗季は澄人の手から視線を離した。予約のある人とない人を分けたのは、自分の怠りだけだと考えるほうが、今は話を簡単にできた。

列の先頭からは販売端末の画面が見えた。まだ残席の購入へ進む表示にはなっていない。紗季は画面に何か出るたび、数字が変わったのかと目を上げた。そのたびに、澄人が隣でなく後ろにいることを肩のあたりで感じた。二人で同じ画面を見ていても、そこから欲しいものは違う。紗季には帰れるという確かさが欲しかった。澄人がここで待つことを、紗季はその確かさの一部に数えてしまいそうだった。

船に乗れたら、今夜はこの待ち時間の話をするのだろうか。明日の仕事の話に変えてしまえば、予約し忘れたことも小さくできる。その想像をして、紗季は自分がもう船内にいるように考えたことに気づいた。後ろの澄人の靴先は、まだ待合所の床にあった。紗季も、鞄も、ここにある。帰れたあとの言葉を用意するより、ここで一緒に待つ人に何を言うかを決めなければならなかった。

澄人の乗船予約は、もう有効ではなかった。紗季が港に着く前の十七時五十分に、澄人は自分の携帯端末で取消を済ませていた。その一席は、十八時二十分の残席受付へ回る。元の予約を戻すことも、紗季の名前へ移すこともできない。紗季はまだ、そのことを知らなかった。

S060-3 S3 譲るという言葉

十八時十二分、紗季は鞄を両手で持ち、澄人に向き直った。受付の始まる時刻を確かめても、待ち時間の使い道は増えなかった。何かを決めれば、まだ券を持っていなくても、この場所に自分の意思で立っていると思える。そう考えてから口を開いた。

「席が取れたら、あなたが先に帰って。私は朝の便でも帰れる。」

言い終えた直後に、先に、という言葉が不自然だと思った。澄人は自分の予約で帰れるはずだ。自分が取る席を相手に渡せば、今度は相手の席を自分に回してもらえるとでもいうのか。予約をそのまま他人の名に移せないことは掲示に書いてある。紗季が差し出したのは、まだ手の中にないものだった。先に帰って、とは、自分が残ることに同意してほしいという願いに近かった。

「まだ、君の席はない。」

澄人の返事は短かった。紗季は鞄の持ち手を握り直した。恥ずかしさを紛らすように笑えば、提案を軽くできたかもしれない。けれど口元は動かなかった。ないものを譲ろうとしたことだけを笑われたわけではない。澄人は、本当にないのだと指摘した。その簡単な言葉に、紗季の考えた順番が止められた。

譲ると口にすれば、予約をし忘れた自分も、相手を思って選ぶ側になれる。相手が自分より先に帰るのを、自分で認めたことにできる。澄人の言葉を聞いてから、紗季はその都合のよさを見つけた。自分のための席を探すことと、相手のために席を譲ることは、一度にできるようでいて、まだどちらも始まっていなかった。

「帰れるのと、間に合うのは、違うけど。」

これは澄人に教えるための言葉ではなかった。翌朝七時の便では、自分の仕事を朝から始められない。店はなくならず、机も工具も待っている。それでも、自分で決めた始まりを遅らせることは残る。遅れを事情のせいにすれば説明はつくが、説明がつくことを、遅れのなかったことと同じにはできなかった。

港の近くには今夜泊まれる宿がある。紗季はそこまで歩く自分を想像した。仕事鞄を持って部屋に入り、明日の朝の船に間に合うように眠る。工具がないから、手を動かして仕事を始めることもできない。泊まるという選択には、待合所にいる時間を夜全体へ延ばすようなところがあった。危険でも、不可能でもない。ただ、自分の決めた朝に届かなくなる。

澄人が遠慮しているのかもしれない、と紗季は思った。紗季が席を欲しがっていることは見ればわかる。予約があるから先に行く、と言わず、ここで待ってくれるのは、その気持ちを置いていかないためなのだろうか。そういう解釈なら、澄人が後ろにいることに名前を付けられる。だが名前を付けたところで、相手の意図を確かめたことにはならなかった。

紗季は端末へ向き直った。手元に券が来てから考えるべきこともある。そう決めたのに、券のない今こそ、結論を選び放題だった。自分が帰る、自分が残る、一緒に帰る。それぞれを頭の中で試し、どの結論でも澄人が紗季の選び方を受け入れるところまで想像してしまった。背後の足音は動かなかった。澄人は結論の中にではなく、紗季の後ろに立っていた。

S060-4 S4 一席の表示

十八時二十分、販売端末の表示が切り替わった。残席は一席だった。紗季は、その数字が一であることより、席があることを先に見た。次に一席しかないことを見た。同じ数字を二度読んだだけで、喜びの置き場所が変わった。

端末へ近づけば、購入の操作に進める。紗季が先頭であることは変わっていなかった。澄人は一歩後ろにいる。紗季は鞄を脇へ寄せ、空いた場所を手で示した。

「先にどうぞ。」

列で順番を替えるだけなら、その言葉で済む。紗季は澄人を前へ出そうとした。予約を持つ澄人がここで新しく買う必要はないはずなのに、入口へ進んでもらうことと、自分の順番を相手に渡すことが混ざっていた。澄人が先に行けば、自分もようやく、自分の分だけを考えられる。その頼みまで、手の動きに含めていた。

「君の仕事は、朝からだろう。」

鞄を寄せたまま、紗季は澄人を見た。翌朝のことを口にされると、先にどうぞが、相手を気遣う言葉だけではいられなくなる。自分が残るなら自分の仕事が遅れる。その事実を、澄人は紗季より静かに扱った。仕事を大事にしているから帰りたい。それなら帰る席を探せばいい。紗季が複雑にしていることが、相手の言葉では短くなった。

「それを理由にしていいのか、わからない。」

澄人の休暇も、朝から始まるはずだった。仕事という言葉のほうが、休暇という言葉より理由らしく聞こえる。その聞こえ方を使って、自分の時間を大切な側へ置きたくはなかった。休む前に自宅で荷物をまとめ、眠ることを、明日でもできることに押しやるのは簡単だった。だが、荷造りの時間も眠る時間も、翌朝になれば減ったまま残る。

画面の一席は変わらなかった。紗季が指を伸ばさないかぎり、購入は始まらない。相手が前へ出ないかぎり、順番も変わらない。紗季は鞄を持ち直し、空けた場所へ足を戻した。譲るといえば片づくのだと思っていたことが、譲る先の人を待たせている。自分が残る選択も、自分が乗る選択も、澄人にそれを認めてもらってからしたくなっていた。

宿に泊まるなら、今夜の港を離れなくてもよい。翌朝の仕事は遅れるが、自分の予約忘れを相手の時間で埋めずに済む。それは筋の通った考えに見えた。けれど、澄人が帰ることを見届けてから自分が残るなら、それも澄人の行動を先に決めることになる。順番を譲っても、相手の選び方まで自分の説明の中へ入れてしまえる。

改札締切は十八時二十五分だった。出港の五分前までに券を持って向こうへ行かなければならない。紗季は画面の時刻と残席を交互に見た。決めないでいることにも、時間がかかる。一席を二人で持つことはできないが、決めるまでの時間は二人とも失う。そのことだけは、まだ同じ場所に立っているからわかった。澄人の携帯端末へは目を向けなかった。今見えている席と、目の前にいる人の話をしたかった。

S060-5 S5 消した予約

十八時二十二分、澄人は紗季の隣に立った。列の順番を替えたのではなく、話をするための位置だった。紗季は鞄を下ろさなかった。下ろしてしまえば、ここに残ると決めたように感じそうだった。澄人は端末の画面を紗季に見せる代わりに、言葉で伝えた。

「僕の予約は取り消した。十七時五十分に。」

紗季は予約者の入口を見た。澄人は、そこへ行ける人ではなくなっていた。そのことがまずわかった。後ろに立っていた姿、席はまだないという返事、自分の仕事は朝からだという指摘が、頭の中で同じ向きに並び直した。言葉も立ち方も変わっていない。自分の考えていた帰り道だけが、それらを別の意味にしていた。

「私が来る前に?」

「うん。君が待っていたら、空いた席を取れると思った。」

思った、と澄人は言った。紗季に席を渡した、とは言わなかった。予約を消せば、空いた席は受付に回る。相手の名へ移せるわけではなく、自分の予約を戻せるわけでもない。紗季が先頭で待っているから、今は一席を買える。澄人がしたことと、紗季がこれからすることの間には、購入の操作が残っていた。

それでも、紗季のために消したことはわかった。知らないところで、自分が受け取るかもしれないものが用意されていた。その用意に自分が参加していなかったことが、ありがたさと同じ速さで胸に届いた。澄人に残ってほしいと頼んだことはない。だが、頼まなかったから自分に関係がないとも言えなかった。

「宿に泊まったら、荷造りも休む時間も減る。」

「減る。明日は帰ってから出る。」

澄人が減ると言ったことに、紗季は少し救われた。何も困らないと言われたら、どこへ感謝を置けばいいのかわからなくなっただろう。減る時間はある。休暇への出発は遅れる。それを自分のこととして引き受けている人が、隣に立っていた。紗季は、その損失が小さいと決めずに聞くことができた。

紗季が乗らなければ、澄人がこの一席を買って帰ることはできる。取消が元に戻るわけではないが、今夜の帰宅はまだ選べる。だから澄人に前へ出てもらう選択は消えていなかった。予約を消したから、紗季が必ず受け取らなければならない、という規則は掲示にも二人の間にもなかった。選べることが残っているのは楽ではなかった。選ぶ理由を、自分で持たなければならない。

明日の仕事を、澄人への返礼として始めることはできない。初めて独立して担当する仕事なのに、始まりの意味を澄人が席を空けたことだけにしてしまえば、自分が準備した机も手も、その行為の証明になってしまう。紗季は仕事のために帰りたい。それを今なら、自分の願いとして言える気がした。相手の行為を無駄にしないため、という理由を足さずに。

「ありがとう。でも、次は先に話して。」

「わかった。」

次のことを口にしても、今日の取消は話し合いで行ったことにはならない。紗季は感謝のあとに置いた言葉で、今夜をきれいに直そうとはしなかった。澄人も、紗季が驚いたことを消せるような言い方はしなかった。わかった、という返事が、二人の間に新しい券を作ることもなかった。

紗季は端末の前に戻った。一席という表示は、さっきと同じだった。ここには澄人の予約だった、という名前は出ていない。いま購入する人のための一席がある。紗季はその数字を見て、自分が乗るなら澄人が残ることを、ようやく両方とも今夜の事実として考えた。帰宅と宿泊を同じくらいよいものに言い換える必要はなかった。違うままで、選ぶことはできた。

S060-6 S6 岸の夜

十八時二十四分、紗季は仕事鞄を片手に持った。もう片方の手を販売端末へ伸ばす前に、澄人へ顔を向けた。相手がうなずくのを待ってから言うと、また決定の先を相手に持ってもらうことになる。紗季は自分の言葉を先に置いた。

「私は乗る。明日の仕事を始めに行く。」

「僕は宿へ行く。」

澄人の返事には、紗季を行かせる、という言い方がなかった。宿へ行くのは澄人自身だった。紗季が選んだあとでも、澄人には澄人の足で歩く道がある。ただしそれは、紗季のために取消をしたことも、今夜失う時間も消さない。紗季は、その二つをいっぺんに考えようとした。

「それぞれの帰り方だね。」

紗季は残席を購入した。端末から受け取った券は、鞄よりはるかに軽かった。自分の乗る便と改札の先を確かめて、手に持つ。相手の予約が自分の名に変わったのではない。自分がいま買った券だった。そう区別しても、澄人が空けた一席を使ったことは残った。券を自分のものとして持つことと、何も受け取っていないふりをすることは違った。

十八時二十五分の締切前に、紗季は改札機へ券を通した。通るとき、仕事鞄を体へ寄せた。隣にもう一人が続く幅を、自然に空けそうになった。そこで振り返った。澄人は改札の手前にいた。入口まで同じだった二人の帰り道が、ここで違う方向へ折れる。何度見ても、あとからもう一席が出てくるわけではなかった。

船へ乗り、紗季は甲板の手すりの前に立った。金属が掌に冷たかった。待合所の床から鞄へ移った冷たさと同じように、この手触りも、場所を離れればやがて薄れる。けれど今夜のことを、冷たさが薄れるのと一緒に小さくしてしまいたくはなかった。予約をしなかったこと、相手が取消をしたこと、自分が買って乗ったこと。その順番はもう変えられなかった。

十八時三十分、船は岸を離れた。澄人が見送っていた。紗季は手すりから片手を離し、手を上げた。感謝が届いたかどうかを、その距離で確かめることはできなかった。言うべき言葉は端末の前で言った。いま手を上げるのは、乗った自分がここにいることを相手へ見せるためだった。

澄人は見送りを終え、宿のあるほうへ歩き始めた。紗季にはその背が見えた。対岸の自宅に帰る足取りではないが、行く先のある足取りだった。明朝、澄人は帰宅して荷造りをし、それから休暇へ出る。その遅れを、紗季が今夜のうちに埋める方法はない。船の上から新しい用事や埋合せを作れば、休みに行く相手へ、また仕事を渡すことになりそうだった。

紗季は鞄を足元へ置いた。明朝の机には、並べた工具がある。そこへ着いたら、自分の仕事として始める。うまく進むかどうかは、まだわからない。今夜乗れたことを明日の成功に結びつけなくても、ここへ来るために使った相手の時間を覚えていることはできる。紗季は澄人の背が小さくなるのを見てから、対岸へ顔を向けた。船は進み、岸には岸の夜が残った。

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