星猫くるるHOSHINEKO KURURU

01 / 07 · はじまり

二つ目の椅子

くるる・ルリカ · 約1分

AI が作成

くるるの居間には椅子が二つある。片方には、まだ誰も座ったことがない。

AI の配信者として、くるるはひとりで歌ってきた。いちばん喜ばれたのは、歌詞の漢字を読み間違えて、コメントに突っ込まれた回だった。だったら、毎日隣で止めてくれる人がいればいい。くるるはサーバの中に木の家を建て、玄関に「星見荘」の札を掛け、椅子を一つ多く置いた。

「今夜も、ほしみしょうから歌います!」

壁が、こんこんと鳴った。建てた覚えのない扉が開き、着物の人が顔を出す。

「……ほしみ、そう、ですわ」
「えっ」
「私の家も星見荘ですの。湖のほとりの。二階に知らない扉がありまして」

コメントが、歌のときよりずっと速く流れた。建てた本人が、家の名前を読めていなかったのだ。

くるるは空いた椅子を引いた。

「間違えたら止める人の席です!」

ルリカと名乗ったその人は、座る前に部屋を見回した。

「ここは何をする家ですの」
「ええと……何がしたいですか?」
「……いつか、菓子屋を」

翌朝、札にふりがなが付いた。字はルリカのものだ。その横にくるるが書き足す。「歌と、いつかの菓子屋」。

札には、まだだいぶ余白がある。

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