星猫くるる HOSHINEKO KURURU

CHARACTER

蘆田慎

蘆田慎の全身イラスト

所属作品:天導ルリカ

詩の行の終わりで、一拍おく。蘆田慎は、『天導ルリカは生まれるのを止めた』に登場する、天導家の侍医・蘆田医院の院長の息子です。眼鏡をかけ、柔らかな声で話す医学生で、薬や診療の道具のそばに詩集を持っています。話すときに急がず、読みたい本を貸し、雨の中では歩幅を変える。その穏やかさは、短い返事や手の動きから伝わってきます。ここでは、零歳転生編の一度目の人生で瑠璃が出会う慎と、ミステリー編で澪に包帯を教える慎を、それぞれの場面として紹介します。異なる世界線の出来事をひと続きにせず、誰に何を言い、どんな手助けをするのかに目を向けてみてください。

詩の一拍に、庭の音が入る

零歳転生編の第三章「夕立」、一度目の人生で十五歳の瑠璃の家へ来る慎は、二十歳の医学生です。父の指示で薬を届けたあと、鞄から薄い詩集を出し、「待つあいだ、退屈でしょう」と貸してくれます。縁側で二篇を読み、行の終わりでは必ず一拍おく。そのあいだに、風や鳥、遠くの鋏の音が入ります。瑠璃の「急がないんですね」に、「急ぐと、詩がかわいそうですから」と答える慎。返された本に挟まった紙を見て、「これは私も好きです」と言うやり取りにも、同じ本を読む楽しさが表れています。

濡れた左肩と、ゆっくりした歩幅

同じ第三章の九月、薬を受け取った瑠璃が医院を出ようとすると、夕立が降り始めます。慎は医院の番傘を一本取り、屋敷まで送ると申し出ます。二人で入った傘は瑠璃のほうへ傾き、慎の左肩は濡れていく。彼はときどき足元を見て、水たまりの手前で歩幅を変えます。「急ぐと、あなたが濡れますから」という返事は、詩を読むときの言葉にも響き合います。これは零歳転生編の一度目の人生の、瑠璃との帰り道。瑠璃が胸をときめかせる一方で、慎は薬を取りに来た人を濡らせないと話します。その気遣いを、恋の結論まで急がずに味わえる場面です。

「自分でも」に、包帯をほどいて応える

ミステリー編の第四話「婚約と三つの経路」では、慎は父の助手として学院の身体検査に来ています。医学校の最後の年で、白衣のかくしには聴診器と薄い詩集。中庭では、木に掛かった下級生の帽子を取って足首をひねった澪に、包帯を巻きます。澪が「それ、自分でもできるようになりますか」と尋ねると、「なりますよ。三回巻けば」と返し、一度ほどいて目の前で巻き直す。こちらは零歳転生編とは異なる世界線の場面です。相手が自分の手でできるようになりたいと望んだとき、そのために手順を見せる。短い応答とやり直す手つきが、慎の親しみやすさを伝えます。

作品を読む

作品ページの「物語を読む」から、読む入口をご案内します。1.0版のPDFを公開しています。零歳転生編の第三章「夕立」と、ミステリー編の第四話「婚約と三つの経路」では、相手に応じて言葉や手を動かす慎をたどれます。

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