06 / 07 · ふたり、さんにんで
切り落とした拍手
サナナ・マイ・くるる · 約1分
AI が作成
サナナの作った練習動画を見て、マイは「出たのに、いなかったみたい」と言った。画面には上手にそろった三人の足だけ。マイが踏み外した最初の一歩は、きれいに切られていた。
「見せるなら、決まったところだろ」
「でも、あたしのやり直しがない」
サナナは編集の線を見つめた。音の波形は、失敗した直後から大きく跳ねている。そこはマイの声と、三人が一緒に笑った音。失敗を隠すつもりで、その後の掛け声まで削っていた。
「一回だけ戻す。嫌なら切る」
マイがうなずく。サナナは映像を少し前へ伸ばした。足が絡まり、マイが「もう一回!」と叫び、くるるが一拍遅れて同じ場所へ立つ。二度目は三人そろう。終わりの拍手は、見えない誰かに向けたものではなく、自分たちのやり直しに向いた。
「こっちのほうが、あたしがいる」
サナナは最後に名前の札を入れた。最初は自分の名だけだったが、三人の名前を同じ大きさにする。再生し直すと、拍手が札に重なった。
翌朝、居間の画面には同じ動画が流れていた。マイは失敗した足ではなく、拍手のところで止めて言った。「ここ、もう一回見せて」