星猫くるる HOSHINEKO KURURU

03 / 07 · まずは、ひとりずつ

白い地図

オタク君・ギャル · 約1分

AI が作成

港町の案内地図を描いたオタク君は、「細かすぎる」と展示から外された。屋根まで描いた紙では、道が埋もれていた。

「全部見てほしかったのに」
「なら、歩く人が先に見る線を作ろ」

ギャルは地図の端に、太い鉛筆で一本だけ坂道を引いた。オタク君は慌てて止める。その道は途中で二股に分かれるから、一本のまま描くと間違える。

「ほら、その説明がほしい」
「説明?」
「迷った人に聞かれたら、どっちって言う?」

オタク君は紙の裏に、石の手すりがあるほう、と書いた。次に曲がる角には青い屋根。その屋根は表の地図に小さく描いてあった。

二人は表の絵を捨てず、道だけ濃くなぞった。分かれ道には手すりと青い屋根の印。印を順に追えば、港から星見荘まで歩ける。

夕方、迷った人に地図を見せると、その人は屋根の絵を指した。「ここなら見た」。オタク君は初めて自分の絵を道案内に使えた。

翌日、案内板の地図の下に白い余白が残された。オタク君が新しい目印を書き足すための場所だ。ギャルはそこへ先に『坂は急です』と書き、丸をもらった。

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