07 / 10 · もう一方の結末 · バッド
二人の残留
バッド:黙って断る
リカは送信した。画面を伏せて、月曜の客の色を調合した。
土曜日、芙美が小さなケーキを買ってきた。リカの勤続九年だった。
「居てくれて助かるよ」
リカは、行かなかった理由をようやく聞けた気がした。
秋、芙美が建物の更新の封筒を出した。
「閉めたいの?」
「春なら、そうした」
母の町で、友人が席を空けてくれていた。リカを雇ったまま自分だけ出ていくわけにはいかないと思って、断った。友人は、夏に別の人を迎えた。
「うちも三月に、誘われてた」
二人とも、断ったあとで相手に礼を言われていた。リカの席にも、もう別の人の道具が入っている。
芙美は三年の更新に署名した。リカは止めなかった。
翌朝、最初の客は前髪を少し短くしたいと言った。
「今日、ここだけは絶対変えたくないってとこ、ある?」
客は眉の上を指した。リカは切らない線を決めた。
予約帳は机の上で開いている。そこには二人の名前が、空いている時間を埋めるように並んでいた。